二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「宇迦山の妹というのはそなたか」

「ご多用の折、恐縮でございます」

「なんの用だ」



惺音が一歩前に出た。



「我が神使、鳳青蘭を鸞から人間にしていただくお力をお貸し願えないかと思い馳せ参じた次第でございます」



その言葉に、天山がギロッと蘭を見た。



蘭の顔ほどもある大きな目が蘭を圧倒する。



蘭がおずおずと前に進み出た。



天山は蘭を見て鼻を鳴らす。



「たしかに、この儂は妖を人間にしてやったことも過去何度かある。しかしな…」



更に強い目で蘭を見る。



「その術には、儂への信頼が大切じゃ。儂のことを心底信頼し、命を預ける覚悟がなければ、いくら儂とて失敗する可能性がある」

「…」

「その覚悟はあるか? 鸞よ」



蘭はその問いに固まった。



天山はうなずいた。



「儂に命を預ける気概はなかろうな。それよりも、九尾狐、そなたの力でしてやる方が良いかと思うが。そなたの神使であろう」



天山が惺音に視線を戻す。



惺音はうつむいて黙ってしまった。



「まあ、良い。儂の方はいつでもしてやれる。覚悟を決めたらいつでも来るがよい」



そう言って天山はまた大きな翼で木の上に飛び去って行った。



俺たちは黙ったまま帰る。



やっぱり…蘭は惺音にしてほしいんだと思う。



それは、惺音にも覚悟を決めさせるということだけど。



知らない大天狗に命を預けるよりも、惺音の方がいいに決まってる。



それを惺音もきっと分かってる。



あとは、惺音がどのくらい自分を信じられるかだ…。



全員の未来が明るくなるといい。



今俺にできるのは、それを願うことだけだ…。