二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「はあ…」



下校中もついため息。



「蘭、また最近何か悩んでる?」



惺音ちゃんにもバレた…。



でも惺音ちゃんには言えないな…。



神使を離れる上に妖まで辞めるかもしれないなんて悲しませるだけだ…。



「何でもない…」

「そう…?」



惺音ちゃんが心配そうな顔をしてる。



そんな顔させてごめん…。



そんなある日、人間界で生きていく心得の授業。



今日はゲストで人間界で何百年も生きてる妖の体験談の日だった。



その妖はおじいさんの天狗。



900年近くこっちの世界で生きてるらしい。



俺は知らないけど、源義経っていうすごい人に修行したこともあるらしい。



「この世界で生きていくというのはとても寂しいことです」



そう言って天狗さんは黒板にたくさんの絵や写真を貼り出した。



「これは私が関わってきた人間たちの絵姿や写真です。どの人もみな私に優しくしてくれ、そしてみな等しく死んでいきました」



教室がシンとした。



天狗さんはふっと笑う。



「脅かしてごめんなさい。人間界に住み、人と関わって生きていくというのはそういうことなのです。もちろん人間と関わらず妖の仲間とだけ関わっていく妖も大勢います。それもまた生き方の一つ。ですが、私は人と関わることを選びました。皆さんは、人と生きるというのがどういうことなのかを知ってもらいたい。その上で、後悔のない選択をしてください」



その授業は俺にはとても深く刺さった。



莉子と生きるということ。



それはやっぱり一緒に歳を取って、命を大切にして、些細なことに幸せを覚えたり、悲しんで、そして一緒に死んでいくことだ…。



俺、人間になりたい…。



人間は俺たちと違って色んな人に恋をする。



もし莉子が別の人を今後好きになったとしても。



俺が莉子を愛したという事実だけで生きていけると思う。



決めた。



俺は人間になる。



だけどそのためには…惺音ちゃんの力が必要。



俺、惺音ちゃんの悲しい顔は見たくないよ…。



それに、まずは莉子に言わなきゃ…。