二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「惺音!」



勢いよく部屋に入ると、惺音は穏やかな顔で眠っていた。



布団からはみ出した尻尾には、俺のものと思われる血がこびりついてる。



「煌くん! もういいの?」



蘭は惺音の手をぎゅっと握っていた。



驚きの顔で俺を見る。



そのとき、医者と莉子ちゃんが部屋に入ってきた。



「まだ動いてはならんというのに…」



医者は呆れた顔。



「それより、惺音はなんでこうなった?」

「それが、よく分からないんじゃ…」

「分からない?」

「話によると、10個目の妖丹を飲んだ途端にこうなったということじゃが…。妖丹だけでこうなるのは普通あり得ん…。まあ九尾狐じゃから普通と違っていておかしくはないが…」



医者は腕を組んで頭をひねった。



蘭が悲痛な顔をして惺音の寝顔を見る。



「せっかく今日は18歳の誕生日なのに…」



その言葉に医者が反応した。



「待て、今なんと言った」

「えっ…」

「惺音どのは今日で18になられたか」

「そう…ですけど…」



医者は納得したように何度もうなずいた。



俺は眉間にしわを寄せて医者を見る。



なんなんだ…?



「今までの惺音どのは成熟しきっていなかった。その上力のコントロールも苦手で、大きな力を使うとすぐに衰弱してしまっていたの。しかし18歳となれば話は別。成熟した体で、力は増しコントロールも取れるようになったところに、10個目の妖丹が体に入った。妖力が内側で収まりきらなくなったということじゃろう」

「…」

「18歳になればただでさえ大人に近づき力も増すのに、今までの妖丹で随分と力を蓄え、その蓄積が10個目であふれ出したんじゃろうな。ことに、18歳になったばかりの体に10個目の妖丹が来たのが良くなかった」



俺は惺音の顔を見た。



穏やかな顔で眠っているが、抱えきれないくらいの妖力が、今惺音の中で暴れてるということか…。