二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「それって…妖の世界で働けってことですか」

「基本はそうなるけど…、人間界にいたいかい?」

「そういうわけじゃ…ないですけど」

「まあ…今すぐに決めなくてもいいよ。考えていてほしい」



仕方なくあたしはうなずく。



そして定毘古の話は終わった。



衛府からの帰路に着く。



さっきの定毘古の話が頭をぐるぐるする。



「惺音?」



煌があたしの顔を覗き込んだ。



「さっきの話、気にしてるのか?」

「まあね…」



あたしが言うと、蘭が不思議そうな顔をした。



「あの話、受けるメリットって惺音ちゃんにあるかなあ?」

「え?」

「だって働かなくても惺音ちゃんは蓮麻くんの力で生きていけるじゃん。それを危険を冒してまで衛士の仕事するなんて…俺は賛成できないけど」



そう…だよね。



だけど…。



蓮麻の力でずっと生きていく。



それがなんとも引っかかる。



それじゃいつまでも自立できないじゃん…。



あたしは蘭に曖昧な笑みを返した。



その日の夜、部屋でぼーっとしてたら煌がいつもみたいに部屋に入ってきた。



「衛府の話、何が引っかかってる?」

「やっぱ気づく…?」

「まあな」

「んー…、卒業したらどうしようってずっと思ってたところに今日の話があって…道の一つを与えられたような気がしたんだけど…あたしにそれをやるほどの気概があるかも分からないし…妖の世界に住む覚悟も決められないし…」



煌はあたしの話に「なるほどな」とうなずいた。



「煌はどう思う…?」

「んー、俺の立場であんまり意見できねえけど…気になるならやってみるのもありだと思う」

「そう…?」

「危ないこと惺音にしてほしくないけど。でもそれは俺が守るから。惺音の後悔のない選択をしてほしい」



あたしの後悔のない選択か…。



あたしの悩みは続く…。