二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

それから3月3日になった。



「今日がひな祭り本番でしょ!? 何するの!?」

「別に何もしないよ。ちらし寿司食べてハマグリのお吸い物食べてひなあられ食べるくらい」



俺は騒ぐけど惺音ちゃんはクールだ。



「食べ物ばっかり…。お祭りとか舞い踊りとかしないの?」

「しないよ…」



ふーん…そうなんだ。



莉子は苦笑してる。



「それより、今日の夜か明日には片付けないと」



莉子が寂しそうにそう言った。



「え!? 片付けちゃうの!? もうちょっと出してようよ」

「雛飾りは3月3日が過ぎたら早くしまわないといけないんだよ」

「なんで?」

「お嫁に行けなくなるから!」



お嫁…?



お嫁に行くって、結婚ってこと…?



莉子、結婚したいの…?



だ、だれと…?



俺と…?



なんだか急に考え込んでしまった。



莉子は軽い気持ちで言ったんだと思うけど。



でも俺には引っかかった。



莉子は普通に結婚…とかしたいんだろうか…。



だけど俺は妖で。



普通に生きるだけでも寿命の長さも違うし、俺たちにはそもそも結婚というシステムがない。



俺と莉子は…違う生き物。



考えるのを避けていたことが、急に現実となって目の前に降ってきたような感覚に陥った。



莉子が大事。



莉子と一緒にいつまでもいたい。



それは、今のままでは…果たせない。



俺の生きる道が急に暗くなったような気がした。