二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「碧、なに、この人魚」

「俺の彼女」



龍ヶ峰くんがそう言うと、乙姫が鬼の形相になった。



えっ…?



「こんな小娘が碧の彼女!? 信じられない! 今すぐ別れて!」

「姉ちゃーん…」

「碧を人間界にやるのだって心苦しかったのに許せない!」

「姉ちゃんのブラコンは治ってなかったか…」



ブラコン…。



たしかに、碧くんを抱きしめてすりすりしてる…。



音琶が珍しく困ったように脂汗をかいてる。



「お姉さま!」

「なに、あんたに姉と呼ばれる筋合いないんだけど」

「わたくし、碧サマのことを心からお慕いしておりますの…。そのお姉さまのこともわたくしは大切に思っております…。どうかお許しいただけませんか…?」



乙姫は龍ヶ峰くんの腕を自分のもののように掴んだまま、音琶のことを睨んでる。



「俺からも頼むよ、姉ちゃん」

「碧…」

「姉ちゃんのことも大事だけどさ、彼女も大事なんだよ。許してもらえなかったら俺帰ってこれねえよ?」

「…」



乙姫が音琶を睨んだまま、龍ヶ峰くんから腕をそっと離した。



ホッとした顔になる音琶と龍ヶ峰くん。



「許したわけじゃないけど、碧が帰ってこなかったら困るからね」

「ありがと、姉ちゃん」

「また絶対来てね、碧」

「はいはい」



よく分からないけどなんか片が付いたらしい…。



ポカンとしたまま、あたしたちは龍宮城をあとにした。



そして浦島太郎と違って時間の経ちすぎで老けることもなく、いつもの宿に帰った。