二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「で、野狐3人組は?」



あたしは気を取り直して聞く。



「捕らえて屋敷の奥に縛ってある。刀丸と衛丸も動物の狐の姿にしたかったけど俺たちの力じゃ無理だった。すげえなお前」

「まあね。じゃあそれを神々に引き渡しに行きますか~」



あたしたちは縛ったそいつらを引き連れて庭に出た。



屋敷の中からあっちの世界に行ったらいきなり蓮麻の屋敷に出て従業員の皆さんをびっくりさせちゃうからね。



あたしの尻尾の毛をもれなく全員に配ってから妖の世界へ。



「ねえ、でも誰に引き渡すの? 閻魔様に引き渡すんじゃないの?」



青蘭があたしに聞く。



「閻魔の管轄は死者に対してだから。引き渡すのは~…まあ、衛府(えふ)に引き渡せば十分でしょ」

「衛府?」

「青蘭って本当に何にも知らないんだね。衛府っていうのは、妖が起こす些事全般を扱う役所のことだよ。人間界で言うと警察と役所が合体したみたいなものかな」

「ふ~ん。俺は警察ってのもよく知らないけど…。で、それどこにあるの?」

「ここからちょっと離れてるから車を出そう」



というわけで、あたしたちは蓮麻の屋敷に行って車を出させた。



車と言っても自動車じゃなくて、大きい牛車みたいなもの。



牛で運ぶのではなく、風に乗って運ばせる。



野狐3人を奥に押し込めて、広々とした御輿の中にどっかりと座ってあたしたちは衛府に向かった。



衛府では人間界で狐憑きをしてた野狐を捕らえたと言ったらすぐに通された。



あたしたちは下っ端役人の妖に引き渡したらすぐ帰ろうと思っていたのに、ここのボスの神である定毘古(さだひこ)が目通りしたいということでなぜか定毘古に会う羽目に…。



大広間で待っていると、奥から衣擦れの音が聞こえてきた。



あたしたちは一応頭を低くして待つ。



ほどなくして、広間の戸が開けられた。



中央の上座に座った定毘古は、あたしたちに「面を上げなさい」と言った。



あたしたちはゆっくりと顔を上げる。



定毘古は柔和なおじさんだった。



良くも悪くも普通の…。