二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

衛士たちが槍を構えて紅柳をぐるりと囲んだ。



紅柳の背後にいる衛士が、今なら狙えると思ってか紅柳に槍を繰り出した。



紙一重で紅柳がそれを躱した瞬間、あたしを捕らえる力が一瞬弱まる。



その隙を見逃さなかった煌が、紅柳の正面から狐火を投げてあたしのことを抱えて奪還した。



その刹那、紅柳を囲んでいる衛士は一斉に槍を紅柳に突き出した。



「みんな、待って!」



瞬間、あたしは叫んだ。



衛士の動きが止まる。



「こいつを殺さないで。こいつ、あたしの狐玉を体内に取り込んでる。今もし殺せば返ってこない。あたしを信じていったん兵を引いて」



衛士たちはあたしの言葉に戸惑った。



だけど煌と蘭はうなずいて。



兵を引かせた。



あたしは煌と蘭に守られながら紅柳に歩みを進めた。



「紅柳、あたしの狐玉を返しなさい」

「…その言葉に素直に応じると思うかい?」

「あなたももう分かってるでしょ。あなたはもう逃げ場がない。手引きする仲間も、命令する親もどこにもいない」



紅柳の目は動揺している。



あたしは続けた。



「お父さんの言いなりの人生は捨てて、一からやり直して新しい仲間を作りなさい」



その言葉に、紅柳は諦めたように肩を落とした。



両手を上げて降参のポーズを取る。



衛士がじりじりと紅柳と間合いを詰め、紅柳は大人しく捕縛された。



ふう…。



ようやく安心した…。