二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

そのとき、バタバタと慌ただしく従者が食堂に入ってきた。



「申し上げます! 館が取り囲まれました!」

「なに!」



紅柳がガタッと席を立った。



あたしは窓の外に目をやる。



でも、穏やかな庭があるばかりで何も見えない。



どういうこと…?



「なぜ居場所がバレた!」



紅柳の焦る言葉と同時に、ドカッという扉を蹴破る音が聞こえた。



続いて、人がガサガサと入ってくる音。



紅柳は青ざめた。



「来い」



そう言ってあたしを乱暴に連れて音のする方へ向かった。



「煌! 蘭!」



そこには煌と蘭、そして槍を持った大量の衛士がいて。



あたしは安堵の息を吐く。



紅柳が煌たちの顔をまっすぐ見据えた。



「よくこの居場所が分かったな」

「灯台下暗し」



煌が言った。



「人魚の宮殿に再び潜伏しているとは思わなかった。どうりで海の浄化が効かないはず」



あたしはその言葉に目を丸くする。



じゃあここは、昨日あたしたちが争ったあの宮殿なの…?



「そう、そして妖術で龍王の屋敷の中身をこちらに移したんだ」



紅柳が言った。



だからさっき食堂から見た景色からは何も見えなかったんだ…。



「紅柳! 龍王は捕らえた。この館も取り囲み、本拠も抑えた。すでにお前の逃げ場はねえぞ! 投降しろ!」



煌が叫んだ。



紅柳が苦悶の表情をしながらあたしの首を片腕でとらえる。



衛士が槍を構えた。



この数があれば、もうほとんど勝負はついている。



紅柳が汗をかきながら言った。



「こちらにはこの九尾狐から取り込んだ力で通常の2倍ほどの力がある。手向かわないほうがいい。人質がどうなってもいいのかな?」



あたしから取り込んだ力…?



まさか、あたしの狐玉の在り処って…。