二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「食べないのかい?」

「あたしがみんなの弱点になるなら死んだ方がマシ。絶対食べない。食べずに死んでやる」

「まったく困ったもんだね…」



紅柳があたしの側に歩いてきた。



そしてあたしの横でしゃがみ込み、スプーンを持っておかずをすくった。



「ほら、口を開けなさい」



あたしにスプーンを差し出してくる。



あたしは断固として口を開かない。



なのに…。



紅柳が左手の親指と人差し指を開く動作をした。



その動作に合わせてあたしの口が勝手に開く…。



開いた口にスプーンが入れられる。



「噛んで」



その言葉に、噛みたくもないのに勝手に噛んで、ごはんを飲み込んだ。



屈辱があたしを襲う…。



「こうされたくなければ食事はきちんと取ること」

「…」



あたしは黙ってお箸を持った。



静かに食事を進める。



今ごろ煌たちはあたしのことを必死で探してるんだろうな…。



せめて無事なことを知らせたいけど妖力を抜かれてたら何もできない…。



それに、音琶も無事だろうか…。



「仲間が心配?」



食事をしながら紅柳が言う。



「明日の朝いちばんで君の屋敷に使者を遣わす。君の神使を通じて衛府へ赴いてもらい君を人質に父の身柄を返してもらう」

「そう簡単に行かないよ」

「どうだか」



紅柳は肩をすくめた。



「しかし、仲間がいるというのは実に羨ましい」

「…?」

「僕には仲間というものがいないんだ。父も僕を息子というより手駒としてしか見ていない。信頼できる人は…僕にはいない」



そう言って寂しそうに笑った。