二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

≪この者たちを倒せ。殺しても構わん≫

「承知しました、父上」



紅柳は笑顔を浮かべてこちらに瞬時に飛んできた。



あたしは煌に抱えられて間一髪で躱す。



水の中での動きは不慣れでこちらに不利だ。



あたしと煌、龍ヶ峰くんと二手に散ったのを見て、紅柳が龍ヶ峰くんに向かって行った。



龍ヶ峰くんは水には慣れている。



龍ヶ峰くんが紅柳の方に上から飛んだ。波動を飛ばす。



だけど紅柳はそれをサッと躱すと、一気に龍ヶ峰くんに距離を詰め、片手で龍ヶ峰くんの首を絞めた。



「龍ヶ峰くん!」

「碧!」



今度は煌が、首を絞めてる紅柳に向かって背後から襲った。



狐火を投げる。



だけど、それも紅柳は察して、こちらを見ずに片手でそれを防いだ。



あたしは間髪入れずに別の角度から広範囲に狐火を投げた。



ボボボボッと炎が広がる。



どう出るか…。



紅柳は龍ヶ峰くんから手を離した。両手でそれを防ぐ。そしてそれをそのままこちらにぐっと押し返してきた。



強い…。



このままだと煌がっ…。



あたしは、目の前にいる煌を弾き飛ばした。



あたしはこちらに徐々に詰めてくる紅柳を強くにらむ。



今の紅柳の不意を衝くには…。



あたしは一瞬姿を見えなくした。



紅柳くらいの妖力があればきっとすぐに見つかってしまうはず。



だけど、一瞬間だけ時間を稼げればいい。



あたしは自分から少し離れたところに狐火を飛ばす。



紅柳の視線が一瞬そちらに向いた。



その隙を狙って紅柳の背後に回る。



「しまった!」



紅柳は叫んだ。



あたしは素早く紅柳の喉元に手刀を突き付けた。



「今すぐ死にたい?」

「くっ…」

「煌! 死体は見たくない。こいつを水の泡にして!」



あたしが言ったそのとき、紅柳の尾があたしの体に巻き付いた。



チッ、油断した!



その尾はあたしをギリギリと締め付ける。



あたしは苦しくて手を下ろしてしまう。



形勢逆転だ…。