二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

次第に人魚の宮殿が見えてきた。



だけど不気味なほど静か。



誰もいない…。



みんな妖力を奪われて沈んでしまっているんだろうか…。



そのとき、横から不意を突いて巨大な魚に襲われた。



「うっ…」



電気のヒレを持つ魚…。



あたしたちは一時息が止まる。



そして、瘴気の奥から、巨大な八頭の蛇が現れた…。



「龍王…」



龍ヶ峰くんがそれを見て声を発する。



これが…龍王…。



煌があたしを守るようにあたしの前に出た。



≪久しぶりだな、龍ヶ峰の倅≫



龍王は、地を這うような声で龍ヶ峰くんに言った。



「龍のオジ御。こちらの世界で随分と暴れているようですが」



龍ヶ峰くんの言葉に龍王は鼻を鳴らした。



≪貴様の親父が棟梁を名乗っているが、本当の棟梁はこの私だ。それを力で見せつけているだけのこと≫

「罪のない者を痛めつけ、禁忌を破り、なんの棟梁ですか。今すぐすべてを旧に復してください」

≪それをしてほしくば力で私を屈させるのだな。…紅柳(こうりゅう)!≫



龍王が叫ぶと、「父上」と後ろから若い人型の男の妖が出て来た。



名前とは真逆に青白い顔をしたその妖の顔はとても美しい。



紅柳と呼ばれたその男は蛇の尻尾を生やしている。