二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

そのうち、煌の投げた狐火が一人の耳を焦げ付かせた。



そして、青蘭の波動も当たり始める。



刀丸(とうまる)っ、衛丸(えいまる)っ!」



遠巻きに眺めていたリーダーの男が慌てて参戦しようとした。



「いけません、藤蔓(ふじつる)様! この者たち、強いです…っ。お逃げください…」



刀丸と呼ばれた狐が藤蔓を制した。



苦悶の表情をした藤蔓は、あろうことかあたしを人質にした。



「あっ、おい!」



煌が慌てる。



藤蔓は余裕を取り戻した顔。



「この娘に何かあってはあなたたちもまずいでしょう。お互い手を引く。これで手打ちにしませんか」

「手を引いたってあんたたちはまた繰り返すでしょ」



あたしはそう言って藤蔓を睨む。



藤蔓は肩をすくめた。



「嫌だなあ、信じてください」



うさんくさいその笑顔…。



あたしは許すつもりなんかない。



「あたしのこと、非力な娘だと思ったでしょ?」

「…はい?」



あたしは瞬時に狐の姿になって妖術で藤蔓のおでこから意識を抜き出した。



そして、その瞬間に藤蔓の身体はただの狐の姿になった。



「藤蔓様!」



悲惨な声を出した刀丸と衛丸だったけど、その隙をついて煌と青蘭も2人に手刀を食らわせて2人の意識を奪った。



「大丈夫か!」



煌と青蘭が慌ててあたしのところに走ってくる。



あたしはというと…一度に強い力を使ったので、立てなくなってしまい、その場にへたりこむ…。



情けない…。



これがあたしの弱み…。



かなりの強い力を持つけれど、その力を使うと一気に体力を奪われる…。



これはもう少し大人にならないとどうにもならないらしい…。



あたしはそのまま抱きかかえる煌の腕の中で意識を飛ばした…。



「惺音っ…! おい、惺音!」

「惺音ちゃん!」



2人の声が遠くから聞こえるけど、大丈夫、ちょっと休めば回復するから~…。