二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「莉子、やろう」

「蘭くん…」

「直美さんを後悔させちゃいけないよ」

「うん、そうだね…!」



直美さんを俺はそっと抱えた。



そして、俺にそれだけの妖力があるか分からないけど…一瞬だけ、時を止める。



時計を見ると、止まっている。



成功だ!



俺の妖力も妖丹のおかげで前よりも強くなったみたい。



「莉子、急ごう」

「うん!」



病院から車いすを盗み、直美さんを乗せて病院から急いで抜け出た。



スマホを確認すると、病院を出たところでちょうど時が動き始めたところだった。



ふう…。



それから莉子が着ていた上着を直美さんに着せて、俺たちは施設に向かった。



着いた施設は夜の闇に包まれている。



俺たちはそっと中に入り込んだ。



車いすを押して、一つ一つの部屋に静かに入っていく。



直美さんは子供たちの寝顔を、涙を浮かべながらじっくりと見て行った。



最後の部屋まで見ると、直美さんは大粒の涙を流して。



「本当に…見られて良かった…」

「直美さん…」



莉子も一緒になって泣いた。



直美さんが俺の手を両手で握った。



「ありがとう…ございました…」

「そんな、お礼なんて…」

「これで思い残すことなくあの世へ行けます…」



俺はなんとも言えない不思議な気持ちで満たされた。



人のために何かするってこんなに気持ちの良いことなんだ…。



人間は脆い。



だけどその脆さがこうやって深い愛を作り上げるのかもしれない。



そのとき、「誰かいるの?」と人の声が聞こえた。