二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

そして俺たちは莉子に連れられてその直美さんのいる病室にやってきた。



「直美さん? 莉子だよ…」

「莉子ちゃん。また来てくれてありがとう」



そう穏やかに言った人は、50代くらいの優しそうな女性だった。



でも…。



俺たちはすぐに分かった。



妖のせいなんかじゃない。



この人は紛れもなく病気。



そして命もそう長くない。



死臭と、死が間近な人特有の瘴気がわずかに漂ってる。



「その後ろの子たちは?」

「今あたしが一緒に暮らしてる…家族だよ」



直美さんは嬉しそうに微笑んだ。



そして俺たちに頭を下げる。



「莉子ちゃんに家族を作ってくれてありがとう」

「いえ、そんな…こちらこそ、莉子がそばにいてくれて嬉しいです」

「莉子ちゃんは施設でもなかなか周りの人たちと打ち解けられなかったから…。家族と呼べる人ができて嬉しい」



その直美さんの優しい笑顔を見て、莉子がなんでこの人を大切に思っているか分かる気がした。



それから少し話して、病室をあとにして。



「…どうだった?」



不安そうに莉子が聞く。



惺音ちゃんが首を横に振る。



「そっか…」

「でも…わずかな瘴気が漂っていたから、それを取り除けば苦しみを軽くすることはできるかも…」

「本当に!」

「でも、本当に少しだよ…」

「それでもいい…お願いしたい…」



莉子は涙を流しながら惺音ちゃんに懇願した。



惺音ちゃんもうなずいて。



「分かった。やってみる」



それから俺を見た。



「蘭、今日の夜、直美さんの病室に忍び込んで瘴気を取り除いてくれる? ちょうど和音からもらったお守りがあるでしょ。あれを使って」

「分かった!」



莉子は涙を浮かべて俺の手を取った。



「ありがとう…」



俺は莉子にそっとほほ笑んだ。