二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

しばらく歩くと平屋の大きい建物があった。



そこにも門番が立っていて、惺音ちゃんがまた稲穂をかざしながら「閻魔に会いに来た。あたしは御饌津 惺音。稲荷神の子。通しなさい」と言う。



門番は慌てて惺音ちゃんを中に入れた。



やっぱ稲荷姫の権勢ってすごいんだね…。



感心しながら3人で稲穂を上に掲げて中に入ると、すぐ正面にいきなり閻魔様が座って現れた。



あまりにも大きくて一瞬気づかなかった…。



かなり高い天井にも届きそうなくらい大きい閻魔様の身体。



それにも関わらず、惺音ちゃんは堂々としている。



「稲荷姫が何をしに来た」



閻魔様が惺音ちゃんをにらみつけた。



やっぱ怖~い…。



それにも動じない惺音ちゃんも怖いけど…。



「最近狐憑きで死んだ人がいるでしょう。その人の処罰はどうしました」

「あれは自殺だ。地獄に落とす」

「自殺?」



惺音ちゃんが眉毛をぴくりと動かした。



「狐が憑いてる状態で自殺? そんなわけないでしょう」

「それが本当だからこうして地獄に落とすと言っている。それとも俺の千里眼を稲荷姫はお疑いか?」



千里眼…。



何でも見通す力を持つ千里眼。



現世での善悪も、前世や来世、この先になにが起こるかも、この閻魔はすべて見通す。



睨みつけたまま話す閻魔様に、さすがの惺音ちゃんも一歩後ずさる。



それでも対話を諦めない。



「でもなんで狐が憑いた状態で…」

「あの人間はなかなか精神の強い者でな。狐に憑かれた状態でもかろうじて意識を保ってた。家族のことも手にかけようとしたから、これ以上苦痛を周りに与えないよう飛び降りたんだろう」

「それを知ってて地獄に落とすのですか!」



惺音ちゃんは怒ったように言って閻魔様を睨み返した。