二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

そう言って俺たちは屋敷の中に入ることになった。



屋敷の中は、親父はいなかったが働いている従業員が笑顔で迎え入れてくれる。



「人数分の着物用意して」

「かしこまりました」



惺音の言葉にうやうやしく礼をするのは女中頭。



ほどなくして、俺たちには和服が与えられた。



俺と青蘭はすぐに着替え終わるが、惺音の着付けをしばし待つ。



しばらく待って出てきた惺音はすげえ綺麗。



藍色の着物が黄色い耳と尻尾を際立たせて、可愛さもある…。



「可愛いな…」



思わずぼそっと言う言葉。



「へっ…? な、なに言ってんの!?」



俺がちょっと言っただけなのに、顔を真っ赤にしながら怒ってそう言う惺音がますますかわいいと思った。



「なに~? 煌くんってそういう感じ?」



ニヤニヤしながら俺に耳打ちする青蘭。



俺はそんな青蘭をとりあえず殴る。



青蘭は頭を押さえて口を尖らせた。



「殴ることないじゃん…」



このうるさい男をどうにかしたい…。



それから3人で閻魔の政庁までの道をたどった。



辺りはもうすっかり暗くなっている。



こちらの世界の方が夜は長い。



閻魔に無事に会うには、死者でないことを証明する生者の証が必要。



生者の証は妖によって違うが、俺たちは稲荷神の庇護の元にいるので、稲荷神の証である稲穂を持って入らないといけない。



青蘭にそれを探しに行かせる。



俺たちは政庁の脇にある受付と警備の役目を果たす詰所の大屋根の上で待つことにした。



でも閻魔のところに行ったって、そう簡単に応じてくれるとは思えない。



そんな簡単にこちらの話を聞いてくれるような人ではないはず。