二匹の神使な妖獣からの溺愛が止まない

「隣、いい?」

「え…うん」



突然のことに戸惑いながら、席を空ける。



「御饌津さんのこと前から気になってて声かけたんだ」



そう言って笑う(さる)くん。



「は、はあ?」



あたしはちょっと動揺。



猿くんはこんなあたしの態度にも構わず笑ってくれた。



「いつもの2人はいないの?」

「あ、うん…置いてきた」

「そっか。今日こそ御饌津さんと話したかったからちょうどよかった」

「…」



なんでこんなあたしと喋りたいなんて思うんだろう…。



猿山の嫁候補にでも差し出されるんだろうか…。



でも猿くんはあたしの気持ちとは裏腹、どんどん自分から色んな話をしてくれた。



「それで俺足滑らせて木から落っこちて骨折してさー、猿も木から落ちるを地でやっちゃった」

「あはは、それめっちゃ面白いね」

「でしょ? 俺も自分で笑っちゃったよ」



意外と楽しい猿くんとの会話…。



猿くんが「連絡先交換しない?」と言ってきた。



やっぱりあたし、猿山の嫁候補…?



あたしは煌のことを考える。



こうやって別の人と仲良くなったら煌のことを忘れることもできるのかな…。



妖が愛すのは生涯で一人と言っても例外はあるし。



猿くんのことを好きになるかどうかはともかくとして、他に目を向けてみるのもありなの…?



あたしはなんとなく釈然としないまま猿くんと連絡先を交換した。