姫宮が入内なさっても、上皇様は未練が残っておられる。
源氏の君がご挨拶に上がると、姫宮のことが話題になった。
上皇様は姫宮へのお気持ちをはっきりと仰せにはならない。
源氏の君は気づかないふりをしながら、
<どの程度気にしておられるのだろうか>
と探りを入れてごらんになる。
かなりおつらそうなご様子なの。
源氏の君はお気の毒にお思いになったわ。
<上皇様がここまで気にかけておられるとは、どのようなお美しさなのだろう>
と、源氏の君はますます興味をおもちになる。
でも、姫宮はうっかり人にお顔を見られるような、子どもっぽいふるまいをなさる方ではない。
源氏の君は姫宮のお世話をなさればなさるほど、奥ゆかしいお人柄でいらっしゃることが分かっていくだけ。
<理想的な女性のおふるまいだ>
と感心していらっしゃったわ。
姫宮は伊勢神宮で「斎宮」というお役目をしておられたから、これからは斎宮の女御様とお呼びいたしましょう。
さて、権中納言様と源氏の君の他に、兵部卿の宮様も姫君を入内させようと計画しておられたのだったわね。
兵部卿の宮様は、入道の宮様の兄宮で、紫の上の父宮でいらっしゃる。
本来なら堂々と姫君を入内させられるご身分だけれど、
<弘徽殿の女御様と斎宮の女御様の勢いが強すぎる。今すぐ姫を入内させても、おふたりに圧倒されてしまうだろう。帝がもう少し大人になられて、お妃方の扱いを学ばれてからの方がよい。分別がおつきになれば、私の姫も身分にふさわしく扱ってくださるはずだ>
と、その時を待っていらっしゃる。
源氏の君がご挨拶に上がると、姫宮のことが話題になった。
上皇様は姫宮へのお気持ちをはっきりと仰せにはならない。
源氏の君は気づかないふりをしながら、
<どの程度気にしておられるのだろうか>
と探りを入れてごらんになる。
かなりおつらそうなご様子なの。
源氏の君はお気の毒にお思いになったわ。
<上皇様がここまで気にかけておられるとは、どのようなお美しさなのだろう>
と、源氏の君はますます興味をおもちになる。
でも、姫宮はうっかり人にお顔を見られるような、子どもっぽいふるまいをなさる方ではない。
源氏の君は姫宮のお世話をなさればなさるほど、奥ゆかしいお人柄でいらっしゃることが分かっていくだけ。
<理想的な女性のおふるまいだ>
と感心していらっしゃったわ。
姫宮は伊勢神宮で「斎宮」というお役目をしておられたから、これからは斎宮の女御様とお呼びいたしましょう。
さて、権中納言様と源氏の君の他に、兵部卿の宮様も姫君を入内させようと計画しておられたのだったわね。
兵部卿の宮様は、入道の宮様の兄宮で、紫の上の父宮でいらっしゃる。
本来なら堂々と姫君を入内させられるご身分だけれど、
<弘徽殿の女御様と斎宮の女御様の勢いが強すぎる。今すぐ姫を入内させても、おふたりに圧倒されてしまうだろう。帝がもう少し大人になられて、お妃方の扱いを学ばれてからの方がよい。分別がおつきになれば、私の姫も身分にふさわしく扱ってくださるはずだ>
と、その時を待っていらっしゃる。



