野いちご源氏物語 一七 絵合(えあわせ)

やっと月が出てきた。
月光は入ってこないお部屋だけれど、空が明るくなって風情(ふぜい)があるの。
(みかど)は楽器を持ってこさせて、和琴(わごん)(ごんの)中納言(ちゅうなごん)様にお与えになる。
権中納言様も、源氏(げんじ)(きみ)に負けず(おと)らずお上手なのよ。
(そち)(みや)様は(そう)、源氏の君は(きん)をお弾きになる。
琵琶(びわ)拍子(ひょうし)取りは、上手な女房(にょうぼう)と貴族が担当した。
すばらしい演奏会になったわ。

夜が明けていく。
花の色も人のお顔も明るく見えてはじめていく。
そこへ鳥がさえずって、心地よく幸福な朝だった。
絵合(えあわせ)の参加者へのご褒美(ほうび)は、入道(にゅうどう)(みや)様がお出しになった。
審判(しんぱん)をなさった帥の宮様は、さらに帝からもご褒美をいただかれたわ。