常陸の宮様の姫君のことを覚えている?
ほら、鼻の頭が赤い姫君。
父宮が亡くなって、荒れたお屋敷に寂しくお暮らしだったところに、源氏の君がお通いになりはじめたの。
経済的にも支援なさった。
源氏の君のご収入からすれば大したことではなくても、貧乏な姫君からしたらものすごくありがたいことよね。
そうやってなんとか生活を成り立たせていらっしゃったのに、源氏の君が突然須磨へ行ってしまわれて、連絡も途絶えてしまったの。
源氏の君としては、まぁ、仕方のないところもあるのよ。
世の中が何もかも嫌になって都をお離れになったのだもの。
悩み苦しんでいらっしゃるのだから、それほど愛していなかった女君のことを忘れてしまわれるのも仕方がないわ。
常陸の宮様の姫君は、しばらくは泣きながらそこそこの生活をしていらっしゃったけれど、月日が経つほど貧しく悲しい有り様になっていかれた。
長年お仕えしている女房は、
「あぁ、なんと残念な姫様の運命でしょう。せっかく源氏の君という神様や仏様のような方が現れてくださったというのに、政治家同士の揉め事のせいで、また頼る人のいない貧しい生活に逆戻りですよ」
とつぶやいて嘆く。
貧乏に慣れていたころなら耐えられたことでも、なまじ源氏の君の支援で人並みな生活をしてしまった後では、もう耐えられなくなっているのよね。
由緒正しい宮家だから、それなりに良い女房たちも勤めていたのだけれど、貧乏暮らしに耐えられず出ていってしまう。
体調を悪くして亡くなる人もいて、だんだんお仕えしている人の数も少なくなってきたわ。
ほら、鼻の頭が赤い姫君。
父宮が亡くなって、荒れたお屋敷に寂しくお暮らしだったところに、源氏の君がお通いになりはじめたの。
経済的にも支援なさった。
源氏の君のご収入からすれば大したことではなくても、貧乏な姫君からしたらものすごくありがたいことよね。
そうやってなんとか生活を成り立たせていらっしゃったのに、源氏の君が突然須磨へ行ってしまわれて、連絡も途絶えてしまったの。
源氏の君としては、まぁ、仕方のないところもあるのよ。
世の中が何もかも嫌になって都をお離れになったのだもの。
悩み苦しんでいらっしゃるのだから、それほど愛していなかった女君のことを忘れてしまわれるのも仕方がないわ。
常陸の宮様の姫君は、しばらくは泣きながらそこそこの生活をしていらっしゃったけれど、月日が経つほど貧しく悲しい有り様になっていかれた。
長年お仕えしている女房は、
「あぁ、なんと残念な姫様の運命でしょう。せっかく源氏の君という神様や仏様のような方が現れてくださったというのに、政治家同士の揉め事のせいで、また頼る人のいない貧しい生活に逆戻りですよ」
とつぶやいて嘆く。
貧乏に慣れていたころなら耐えられたことでも、なまじ源氏の君の支援で人並みな生活をしてしまった後では、もう耐えられなくなっているのよね。
由緒正しい宮家だから、それなりに良い女房たちも勤めていたのだけれど、貧乏暮らしに耐えられず出ていってしまう。
体調を悪くして亡くなる人もいて、だんだんお仕えしている人の数も少なくなってきたわ。



