野いちご源氏物語 一五 蓬生(よもぎう)

その二年後、姫君(ひめぎみ)二条(にじょう)(ひがし)(いん)にお引越しなさった。
源氏(げんじ)(きみ)は改まってお会いになることはないけれど、二条(にじょう)(いん)のすぐお隣だから、何かのついでにお顔をお見せになる。
軽いお扱いはなさらなかったみたい。
姫君を九州へ連れていこうとした叔母君(おばぎみ)は、都に戻ってびっくり仰天(ぎょうてん)よ。
あれほど落ちぶれていた姫君が、源氏の君のお屋敷でお世話されているのだもの。
侍従(じじゅう)は、
<うれしいけれど、私はどうしてもう少し我慢(がまん)できなかったのだろう。(おろ)かで恥ずかしい>
と後悔していた。

そのあたりのこともお話ししたいところだけれど、ちょっと頭痛がしてきたわ。
また今度、思い出してお話しいたしましょう。