一途すぎる上司は、一人でも楽しそうな部下を甘やかしたい

うちの係では上司の千田さんは残っているけれど、他の社員は案外早く帰ってしまう。

千田さんみたいに若いのに出世するのはすごいけれど、その分残業することも多いのだろうか？

そんな私の視線に千田さんは気づいたらしい。

「いつも残っている訳じゃないからな」

「そんなに顔に出てましたかね……？」

「残業なんてあり得ないって顔をしていた」

この世にはしたい仕事について頑張って輝いている人がいることも分かっている。

でも仕事を早く終わらせて、自分の時間を楽しむことで人生を輝かせることも悪い訳じゃない。

「千田さんって休みの日は何をしているんですか？」

「んー、特に何もしてないな。寝るのが好きだから昼過ぎまで寝ていたいが……」

「わ、最高ですね！」

「……」

「千田さん？　どうしました？」

「いや、つまらない休日の過ごし方だと言われるかと思って。実際、内海は休日を大事にしていそうだから」

千田さんはどこか不思議そうな顔をしていた。