野いちご源氏物語 一四 澪標(みおつくし)

そんなことがあったなんて、源氏(げんじ)(きみ)はまったくご存じない。
神様に喜んでいただくために、宝物をお礼として贈ったり、一晩中音楽を演奏させていらっしゃった。
惟光(これみつ)が源氏の君のおそばで申し上げる。
須磨(すま)明石(あかし)でなさったご苦労が、今は遠い昔のことのようです。都でお力を取り戻されましたこと、まことにおめでとう存じます」
源氏の君は、
「何もかも住吉(すみよし)の神様のおかげである。ありがたいことだ」
としみじみおっしゃった。