そんなことがあったとは源氏(げんじ)の君(きみ)は夢にも思われない。神様にお礼の宝物を贈って、一晩じゅう音楽を演奏させていらっしゃった。 惟光(これみつ)がしみじみと申し上げる。 「須磨(すま)や明石(あかし)でのご苦労が遠い昔のようです」 源氏の君もしんみりとうなずいて、 「何もかも住吉(すみよし)の神様のおかげだ」 とおっしゃった。