野いちご源氏物語 一四 澪標(みおつくし)

 朧月夜(おぼろづきよ)尚侍(ないしのかみ)にもあいかわらずご執心(しゅうしん)だった。手紙をお送りになるけれど、女君(おんなぎみ)の方はとっくに()りていらっしゃる。昔のように返事はなさらない。
<せっかく都に戻ってきたというのに。このまま私たちの関係は終わるのだろうか>
 近くにいるだけによけいにすげないご態度が身にしみる。