スイーツ王子は甘くない⁉

 まんべんなく溶けるように、ゴムベラでかき混ぜてっと……んん⁇

 なぜか固まってきているような……?

 え、待って。チョコって、熱を加えると溶けるんじゃないの?

 なんで固まってきちゃってるの⁇

 あ、そっか! 火が弱かったのかも。


 火を若干強め、さらにゴムベラでかき混ぜていくと、溶けたはずのチョコがぼそぼそとした塊になっていく。

 えぇっ、なんで⁉

 うわわっ。今度は焦げてきたっぽい。煙まで出てきちゃったよ。

 どどどどうしよう……そうだ、とりあえず火を消さなくっちゃ!


 慌てて火を消し、はぁ~、と息を吐き出したそのとき——。


「おい、なに考えてんだ!」 

 突然の怒鳴り声とともに、ガラガラッと勢いよく実習室の扉が開き、怖い顔をした一人の男子が、大股でわたしの方へと近づいてくる。


「え、あの、えっと…………ひぃっ!」

 返すべき言葉が見つからないまま壁際まで追いつめられたわたしの顔の横に、ダンッ! と両手をつく。


 まだプスプスとおかしな音を立てながら煙をあげているフライパンをちらりと横目で見ると、その男子が地を這うような低い声で言う。

「こんなに大量のチョコをダメにしやがって」


「あーらら、これはまたハデにやっちゃったねー」