スイーツ王子は甘くない⁉

「なるほどな。だからあんなに楽しそうだったのか」

 わたしの話を聞き終えたクロくんがそんなことを言った。


「……え?」

「一人で笑ったりしゃべったりしていたから、ずっとおかしいと思っていたんだ。でも、そこにいたんだな。その、シロと、エンと、イチゴと、アズってヤツが」


 ひょっとして、あのたまに感じていた視線って……。


「見てたんですか? わたしのこと」

「ああ、まあ……」

 なんとなくバツの悪そうな表情を浮かべるクロくん。


「チョコ以外の特訓は自分で頼めって言ったのに、頼んだ様子はないし、ずっと一人で特訓しているようだったし、正直心配していた。が、ちゃんと教えてもらっていたんだな」

「はい。でも、あの……信じてくれるんですか? こんな、おかしな話」

「ああ。そこに、心愛の言う四人がいたと考えた方が、俺的には納得だ」


 そうだよね。ちゃんといたんだよ。

 他の人には見えていなくても、わたしにはちゃんと存在した。


「ありがとうございます」

 精一杯の笑顔を浮かべてクロくんを見ると、クロくんはふいっと顔をそむけ、咳ばらいをひとつする。