スイーツ王子は甘くない⁉

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「おはよー!」

「おはよ。ねえ、先週の課題できた?」

「あたしも聞こうと思ってた! めっちゃ難しくなかった?」

 昇降口を入ると、楽しそうな話し声がたくさん聞こえてくる。


 みんなすごいな。まだ学校が始まって三日目なのに、もうずっと前から友だち同士だったみたいに、楽しそうにおしゃべりしてる。

 わたしはもちろん中学生になってもぼっち継続中。

 そもそも友だちって、どうやって作るんだっけ?

 ぼっち歴が長すぎて、それすらわからなくなってるよ。


「ねねっ、聞いて。あたし、駅でスイーツ王子に会っちゃった!」

「えーっ⁉ うらやまー」

「はぁ~、朝から眼福~」


『スイーツ王子』っていうのは、スイーツ科の在校生代表として祝辞を読んだ先輩たちのことらしいんだけどね。

 チョコレート、焼き菓子、ケーキ、和菓子のそれぞれの専攻でトップの成績を誇る人たちで、かつ超絶イケメンだったらしくて、入学式直後から特進科の女子の間でものすごいウワサになっているんだ。


 え、わたしは見なかったのかって?

 そんな余裕、全然なかったよ。

 だって、在校生祝辞の直後に、新入生代表あいさつが待っていたんだもん。

 ブルブルガタガタ震える全身をなんとかしなくちゃって、軽く……ううん、めちゃくちゃテンパってた。

 まあ、みんなが口を揃えてイケメンだって言うから多少気になってはいるけど、きっと卒業まで100%ご縁のない人たちだから、そこまで興味があるわけでもないんだよね。