野いちご源氏物語 一二 須磨(すま)

月が出てから上皇(じょうこう)様のお墓へ向かわれる。
(とも)は五、六人だけで、源氏(げんじ)(きみ)は馬に乗っていかれるの。
落ちぶれてしまわれたご様子に、お供の人たちも悲しくなってしまう。

お供のなかには、源氏の君が大切にしている家来(けらい)だという理由で右大臣(うだいじん)様に目をつけられ、内裏(だいり)でのお役職(やくしょく)を失ってしまった人もいる。
源氏の君はそれを気の毒に思って、須磨(すま)へ連れていくことになさった。
源氏の君を尊敬して()れこんでいる人だから、お供できることをよろこんでいたわ。