朧月夜の尚侍とこっそりお会いになっていた現場を右大臣様に見つかった事件は、内密にしておくことができず、世間に知られてしまった。
帝は尚侍にご実家での謹慎をお命じになった。
尚侍の周辺は警戒が厳しくなっていて、直接お会いするどころか、お手紙のやりとりもできないの。
それでも源氏の君はどうにかお手紙をお届けになったわ。
「私が須磨へ行くことはすでにお聞きでしょうか。お見舞いのお言葉をいただけないことは仕方がないと諦めておりますが、都を離れる悲しさだけはお伝えしておきたいのです。しかし、この悲しい運命はあなたと恋に落ちたところから始まったのですから、甘んじて須磨まで流されていこうと思います」
尚侍は泣いてしまわれる。
「お別れが悲しすぎて、あなたが都にお戻りになる前に死んでしまいそうです」
乱れたご筆跡からお気持ちが痛いほど伝わってくるの。
お互いにもう一度お会いしたいと思っていらっしゃるけれど、尚侍は周辺の警戒が厳しくてどうすることもおできにならない。
源氏の君はそれをお分かりだから、尚侍をこれ以上苦しめたくないと、あえてもうお手紙はお送りにならなかった。
帝は尚侍にご実家での謹慎をお命じになった。
尚侍の周辺は警戒が厳しくなっていて、直接お会いするどころか、お手紙のやりとりもできないの。
それでも源氏の君はどうにかお手紙をお届けになったわ。
「私が須磨へ行くことはすでにお聞きでしょうか。お見舞いのお言葉をいただけないことは仕方がないと諦めておりますが、都を離れる悲しさだけはお伝えしておきたいのです。しかし、この悲しい運命はあなたと恋に落ちたところから始まったのですから、甘んじて須磨まで流されていこうと思います」
尚侍は泣いてしまわれる。
「お別れが悲しすぎて、あなたが都にお戻りになる前に死んでしまいそうです」
乱れたご筆跡からお気持ちが痛いほど伝わってくるの。
お互いにもう一度お会いしたいと思っていらっしゃるけれど、尚侍は周辺の警戒が厳しくてどうすることもおできにならない。
源氏の君はそれをお分かりだから、尚侍をこれ以上苦しめたくないと、あえてもうお手紙はお送りにならなかった。



