都を離れるにあたって、二条の院ではいろいろなご準備が行われている。
源氏の君は、お屋敷に残って事務仕事をする家来をお選びになった。
右大臣様の勢いなどになびかない、信頼できる人たちよ。
その人たちがそれぞれ力を発揮できるような組織もおつくりになったわ。
須磨にお供する家来は、願い出た人たちのなかから、本当に親しい人だけを選んで連れていくことになさった。
須磨に持っていかれる物は、最低限の質素な日用品と、書物を入れた箱、あとは琴だけ。
豪華な家具やお着物はお持ちにならない。
須磨に溶けこむおつもりでいらっしゃるの。
二条の院にお仕えしている人たちに命令を出す権利や、源氏の君の個人的な財産の権利は、紫の上にお預けになった。
お屋敷の倉庫にある貴重な品物は紫の上に差し上げて、管理の仕事は、信頼なさっている紫の上の乳母と、しっかりした家来にお任せになる。
源氏の君のお部屋で働いている女房たちには、
「都に戻る可能性もないわけではない。待っていてくれる人は紫の上の離れへ行って、そちらで働いておくれ」
とおっしゃった。
そのなかで、ひそかに源氏の君にかわいがられている人たちは、この先どうしようか悩んでいた。
源氏の君がいらっしゃるからこそ、二条の院で女房勤めをしているわけだものね。
それでも結局、すべての女房たちが紫の上にお仕えすることになったわ。
左大臣家でお育ちになっている若君の乳母や、花散里の姫君などにもお別れの贈り物をなさった。
芸術的な美しいお道具に加えて、日ごろの生活に役立つような実用的な物もお忘れにならないのが、源氏の君のすばらしいところよ。
源氏の君は、お屋敷に残って事務仕事をする家来をお選びになった。
右大臣様の勢いなどになびかない、信頼できる人たちよ。
その人たちがそれぞれ力を発揮できるような組織もおつくりになったわ。
須磨にお供する家来は、願い出た人たちのなかから、本当に親しい人だけを選んで連れていくことになさった。
須磨に持っていかれる物は、最低限の質素な日用品と、書物を入れた箱、あとは琴だけ。
豪華な家具やお着物はお持ちにならない。
須磨に溶けこむおつもりでいらっしゃるの。
二条の院にお仕えしている人たちに命令を出す権利や、源氏の君の個人的な財産の権利は、紫の上にお預けになった。
お屋敷の倉庫にある貴重な品物は紫の上に差し上げて、管理の仕事は、信頼なさっている紫の上の乳母と、しっかりした家来にお任せになる。
源氏の君のお部屋で働いている女房たちには、
「都に戻る可能性もないわけではない。待っていてくれる人は紫の上の離れへ行って、そちらで働いておくれ」
とおっしゃった。
そのなかで、ひそかに源氏の君にかわいがられている人たちは、この先どうしようか悩んでいた。
源氏の君がいらっしゃるからこそ、二条の院で女房勤めをしているわけだものね。
それでも結局、すべての女房たちが紫の上にお仕えすることになったわ。
左大臣家でお育ちになっている若君の乳母や、花散里の姫君などにもお別れの贈り物をなさった。
芸術的な美しいお道具に加えて、日ごろの生活に役立つような実用的な物もお忘れにならないのが、源氏の君のすばらしいところよ。



