野いちご源氏物語 一二 須磨(すま)

二条(にじょう)(いん)(むらさき)(うえ)は、悲しみに沈んでおられる。
それでも、源氏(げんじ)(きみ)がいらっしゃらないお屋敷の(おんな)主人(しゅじん)として、立派にふるまっていらっしゃった。
源氏の君のお部屋から紫の上の離れへ移ってきた女房(にょうぼう)たちは、紫の上が想像以上にすぐれた方でいらっしゃることに感動して、勤め先をかえようなどという人はいない。
紫の上は親しみやすくお優しいご様子で、女房たちへ思いやり深い気配りをなさるの。
上級の女房には、ちらりとお姿をお見せになることもある。
女房たちは、
「源氏の君のたくさんの恋人たちのなかで、特に大切にされていらっしゃるのもごもっともだわ」
と拝見していた。