とても明るい月が上ってきた。
<今夜は十五夜だったか>
こういう月夜には内裏で音楽会が開かれた。懐かしく思い出される。
<都でもこの月を眺めておいでだろう>
あちこちの女君のお姿を想像しながら、じっと月を見つめていらっしゃった。
「『月を見上げて遠くの人を思う』と昔の漢詩にあるけれど、自分がそれをすることになるとは」
今、一番お会いになりたいのは入道の宮だった。恋しくて恋しくて泣いてしまわれる。
「もう夜が更けましたので」
家来が申し上げても寝室にお入りにならない。ずっと月をご覧になっている。
「月は満ち欠けを繰り返す。私もいつか都で元の姿に戻れるだろうか。月のように遠く思われる都だけれど」
兄帝のことも恋しく思い出される。最後に親しくお話しなさった夜、帝は亡き桐壺院にそっくりでいらっしゃった。帝は以前、何かのご褒美として、ご自分の着物を源氏の君にお与えになったことがある。その大切なお着物は須磨にも持参して、ずっとそばに置いていらっしゃった。
<いつかお許しくださる日は来るだろうか>
お優しかった兄宮を慕うお気持ちは消えない。
<右大臣や皇太后の言いなりになって私をかばってくださらなかったとはいえ、帝を恨みきることなどできるはずがない。私を冷たくお扱いになったとしても、私の恋しい兄宮でいらっしゃる>
<今夜は十五夜だったか>
こういう月夜には内裏で音楽会が開かれた。懐かしく思い出される。
<都でもこの月を眺めておいでだろう>
あちこちの女君のお姿を想像しながら、じっと月を見つめていらっしゃった。
「『月を見上げて遠くの人を思う』と昔の漢詩にあるけれど、自分がそれをすることになるとは」
今、一番お会いになりたいのは入道の宮だった。恋しくて恋しくて泣いてしまわれる。
「もう夜が更けましたので」
家来が申し上げても寝室にお入りにならない。ずっと月をご覧になっている。
「月は満ち欠けを繰り返す。私もいつか都で元の姿に戻れるだろうか。月のように遠く思われる都だけれど」
兄帝のことも恋しく思い出される。最後に親しくお話しなさった夜、帝は亡き桐壺院にそっくりでいらっしゃった。帝は以前、何かのご褒美として、ご自分の着物を源氏の君にお与えになったことがある。その大切なお着物は須磨にも持参して、ずっとそばに置いていらっしゃった。
<いつかお許しくださる日は来るだろうか>
お優しかった兄宮を慕うお気持ちは消えない。
<右大臣や皇太后の言いなりになって私をかばってくださらなかったとはいえ、帝を恨みきることなどできるはずがない。私を冷たくお扱いになったとしても、私の恋しい兄宮でいらっしゃる>



