須磨に秋が来た。風が人を悩ませるように吹いていく。
屋敷は海から少し離れているけれど、夜にはすぐ近くに波音が聞こえた。つくづく寂しくなる雰囲気だった。
お供の人たちはどこかで寝ている。源氏の君は寝られぬまま吹きつける風の音を聞いていらっしゃった。波音が恐ろしくて知らず知らずのうちに涙があふれる。
起きて琴を少しお弾きになるけれど、その音もまたぞっとする音色で響く。
「波音が泣き声のようだ。恋しい人の泣き声が都から風に乗って届いているのだろうか」
歌うようにおっしゃったお声で家来たちは目を覚ました。涙をこらえきれないらしい。遠慮がちに鼻をかむ音が源氏の君のところまで聞こえた。
屋敷は海から少し離れているけれど、夜にはすぐ近くに波音が聞こえた。つくづく寂しくなる雰囲気だった。
お供の人たちはどこかで寝ている。源氏の君は寝られぬまま吹きつける風の音を聞いていらっしゃった。波音が恐ろしくて知らず知らずのうちに涙があふれる。
起きて琴を少しお弾きになるけれど、その音もまたぞっとする音色で響く。
「波音が泣き声のようだ。恋しい人の泣き声が都から風に乗って届いているのだろうか」
歌うようにおっしゃったお声で家来たちは目を覚ました。涙をこらえきれないらしい。遠慮がちに鼻をかむ音が源氏の君のところまで聞こえた。



