野いちご源氏物語 一二 須磨(すま)

 朧月夜(おぼろづきよ)尚侍(ないしのかみ)からは、
「あなたへの思いは(かか)えきれないほどで、でもどこかに置いておくこともできなくて、この思いはいったいどうしたらよいのでしょう」
 という短い返事が届いた。ひどくお(なげ)きになっていますと、女房(にょうぼう)からの手紙には書かれていた。都を離れる原因になった恋だけれど、未練(みれん)はたくさんおありで、源氏の君は涙を(おさ)えられない。