須磨までの道中、源氏の君は紫の上の面影が頭から離れず、お胸も苦しくなってしまわれる。
途中からは船で行かれる。
源氏の君はこんな遠出は初めてだから、心細くはあるけれど、周りを興味深そうにご覧になっていた。
波が寄せては戻っていくのに目をお留めになって、
「私は遠くへ流れていくだけなのに、波はまた元の場所へ戻っていくのだからうらやましい」
とおっしゃった。
お供の人たちは何も申し上げられない。
ただ悲しんでいたわ。
振りかえって都の方角をご覧になると、霞がかってぼんやりとしている。
<ずいぶん遠いところまできたものだ。しかし空は都とつながっている>
何もかもおつらいけれど、空を見上げてご自分を励ましていらっしゃった。
追い風も吹いて、午後のまだ明るいうちに須磨の海辺にお着きになった。
途中からは船で行かれる。
源氏の君はこんな遠出は初めてだから、心細くはあるけれど、周りを興味深そうにご覧になっていた。
波が寄せては戻っていくのに目をお留めになって、
「私は遠くへ流れていくだけなのに、波はまた元の場所へ戻っていくのだからうらやましい」
とおっしゃった。
お供の人たちは何も申し上げられない。
ただ悲しんでいたわ。
振りかえって都の方角をご覧になると、霞がかってぼんやりとしている。
<ずいぶん遠いところまできたものだ。しかし空は都とつながっている>
何もかもおつらいけれど、空を見上げてご自分を励ましていらっしゃった。
追い風も吹いて、午後のまだ明るいうちに須磨の海辺にお着きになった。



