いよいよ須磨へご出発の日。
昼間は紫の上とのんびり過ごし、夜遅くなってから出発なさる。謹慎中の身ということで、身分の低い人のような格好で行かれる。
「月が出てきました。もう少しこちらまで来て見送ってください。これからはお話ししたいこともすぐには話せなくなりますね。一日二日会えないだけでも落ち着かないのに」
女君は泣き沈んでいらっしゃる。それでもなんとか縁側まで出ておいでになった。月明かりに照らされてとてもお美しい。
<私が都を離れたら、この人はどうなってしまうのだろうか>
ご心配だけれど口には出されない。紫の上がもっとつらくなってしまわれる。
「死ぬまで一緒ですよとお約束していたけれど、まさか生き別れる運命があるとは思いませんでしたね」
わざと冗談のようにおっしゃった。
「あなたをお引きとめできるなら、私の命など短くなったってよいのに」
紫の上は苦しそうにお返事なさる。
<この人を見捨てることなどできない>
とお思いになるけれど、夜が明けてから出ていくのは世間体が悪い。急いで出発なさった。
昼間は紫の上とのんびり過ごし、夜遅くなってから出発なさる。謹慎中の身ということで、身分の低い人のような格好で行かれる。
「月が出てきました。もう少しこちらまで来て見送ってください。これからはお話ししたいこともすぐには話せなくなりますね。一日二日会えないだけでも落ち着かないのに」
女君は泣き沈んでいらっしゃる。それでもなんとか縁側まで出ておいでになった。月明かりに照らされてとてもお美しい。
<私が都を離れたら、この人はどうなってしまうのだろうか>
ご心配だけれど口には出されない。紫の上がもっとつらくなってしまわれる。
「死ぬまで一緒ですよとお約束していたけれど、まさか生き別れる運命があるとは思いませんでしたね」
わざと冗談のようにおっしゃった。
「あなたをお引きとめできるなら、私の命など短くなったってよいのに」
紫の上は苦しそうにお返事なさる。
<この人を見捨てることなどできない>
とお思いになるけれど、夜が明けてから出ていくのは世間体が悪い。急いで出発なさった。



