お墓にお参りになると、源氏の君は亡き上皇様のお姿をありありと思い出された。
それでも亡くなった方は何もおっしゃらない。
たとえ上皇様であってもね。
「あれほど言い残しておかれたご遺言は破られてばかりです。どうしてこんなことになってしまったのでしょうか」
と泣きながらお尋ねになるけれど、お返事はない。
お墓の周りは木々がうっそうとしている。
月が雲に隠れてしまったから、あたりは真っ暗闇。
源氏の君が手をあわせていらっしゃると、上皇様の面影が暗闇にはっきりと浮かんだ。
思わずぞくりとなさる。
「天からご覧になっていると思っておりましたが、こちらにいらっしゃったのですね。今の私の情けない姿を、どうお思いでございますか」
とつぶやかれると、上皇様はお悲しみともお怒りともつかないお顔をなさって、すっと姿を消してしまわれた。
それでも亡くなった方は何もおっしゃらない。
たとえ上皇様であってもね。
「あれほど言い残しておかれたご遺言は破られてばかりです。どうしてこんなことになってしまったのでしょうか」
と泣きながらお尋ねになるけれど、お返事はない。
お墓の周りは木々がうっそうとしている。
月が雲に隠れてしまったから、あたりは真っ暗闇。
源氏の君が手をあわせていらっしゃると、上皇様の面影が暗闇にはっきりと浮かんだ。
思わずぞくりとなさる。
「天からご覧になっていると思っておりましたが、こちらにいらっしゃったのですね。今の私の情けない姿を、どうお思いでございますか」
とつぶやかれると、上皇様はお悲しみともお怒りともつかないお顔をなさって、すっと姿を消してしまわれた。



