女御(にょうご)様のお部屋をお出になった源氏(げんじ)(きみ)は、妹姫(いもうとひめ)のお部屋にこっそりと行かれた。
姫君(ひめぎみ)はひさしぶりのご訪問を素直におよろこびになる。
源氏の君は、ご姉妹のおっとりとしたご様子にお心が安らぐのを感じておられた。
あれこれと優しく誠実にお話しになったわ。

この妹姫のことは、(たちばな)の花の香りがただようお屋敷の姫君だから、「花散里(はなちるさと)の姫君」とお呼びいたしましょう。