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月の姫君、だと思った。
思い出したのは、馬鹿馬鹿しいと思っていた伝説。
『奈落の底に堕ちた夜 月の姫君が迎えにくる』
―――奈落の底。これ以上ないほど深い地獄。
知っていた、とっくのとうに分かっていた。
どうしようもないほどの息苦しさを。
胸が締め付けられるような窮屈さを。
………だからかもしれない。
月の姫君が、俺を奈落の底から連れ出してくれるんじゃないかと思ったのは。
俺を救ってくれたのは彼女だった。
俺を連れ出してくれたのは彼女だった。
俺を導いてくれたのは彼女だった。
思ったんだ。
彼女に、もう一度、会いたいと。
決めたんだ。
彼女に、もう一度、会いに行こうと。
奈落の底にいても、深い深い地獄にいても、
―――ただ、キミを、愛せるように。

