お正月の華やかな気分も落ち着いて、人事異動が発表される時期になったわ。
下級貴族たちは少しでもよいお役職をいただきたいとそわそわしている。
中宮様も例年どおり何人かご推薦なさった。
当然その人たちは期待して発表を待っていたのだけれど、今回の人事異動では、中宮様のご推薦は完全に無視されてしまったの。
ついに中宮様は中宮として扱われなくなった。
中宮に与えられる経済的な権利も止められてしまったわ。
いくらご出家なさったとはいえ、ふつうはこんなに急に待遇が変わることはない。
右大臣様が勝手にお決めになったに違いない。
納得いかない気もするけれど、これからは「中宮様」ではなく、入道——出家なさった宮様ということで、「入道の宮様」とお呼びすることにしましょう。
入道の宮様は、こんなふうになっていくことを予想しておられたから、<仕方がない>と諦めていらっしゃった。
だけれど、お仕えしている人たちはそうはいかないもの。
<勢いのない主人に仕えているせいで、損をしている>
と思っているらしいのが宮様に伝わって、宮様も動揺なさる。
でも、
<私はどうなってもよいから、東宮様だけは予定どおり帝になっていただきたい>
とだけ念じて仏教の修行をなさっているの。
ただひとつ気になるのは、東宮様の父親の秘密。
源氏の君と入道の宮様の過ちだけれど、万が一それが世間に知られたら、東宮様は東宮の位を失って、当然帝にはおなりになれない。
宮様は仏様にお祈りになる。
<私が悪いのです。東宮様の罪ではありません。どうか私を罰して、東宮様はお許しください>
この東宮様のためのお祈りをなさるときだけは、母君として心がなぐさめられていらっしゃった。
下級貴族たちは少しでもよいお役職をいただきたいとそわそわしている。
中宮様も例年どおり何人かご推薦なさった。
当然その人たちは期待して発表を待っていたのだけれど、今回の人事異動では、中宮様のご推薦は完全に無視されてしまったの。
ついに中宮様は中宮として扱われなくなった。
中宮に与えられる経済的な権利も止められてしまったわ。
いくらご出家なさったとはいえ、ふつうはこんなに急に待遇が変わることはない。
右大臣様が勝手にお決めになったに違いない。
納得いかない気もするけれど、これからは「中宮様」ではなく、入道——出家なさった宮様ということで、「入道の宮様」とお呼びすることにしましょう。
入道の宮様は、こんなふうになっていくことを予想しておられたから、<仕方がない>と諦めていらっしゃった。
だけれど、お仕えしている人たちはそうはいかないもの。
<勢いのない主人に仕えているせいで、損をしている>
と思っているらしいのが宮様に伝わって、宮様も動揺なさる。
でも、
<私はどうなってもよいから、東宮様だけは予定どおり帝になっていただきたい>
とだけ念じて仏教の修行をなさっているの。
ただひとつ気になるのは、東宮様の父親の秘密。
源氏の君と入道の宮様の過ちだけれど、万が一それが世間に知られたら、東宮様は東宮の位を失って、当然帝にはおなりになれない。
宮様は仏様にお祈りになる。
<私が悪いのです。東宮様の罪ではありません。どうか私を罰して、東宮様はお許しください>
この東宮様のためのお祈りをなさるときだけは、母君として心がなぐさめられていらっしゃった。



