源氏の君は二条の院にお帰りになっても、紫の上のいらっしゃる離れには行かず、ご自分のお部屋に引きこもっていらっしゃる。
世の中が何もかも嫌になってしまわれて眠れないの。
ただ東宮様のことだけをお気の毒にお思いになる。
<亡き上皇様は、東宮様の後見が弱いことを心配なさって、母君を中宮という高い位になさったのだ。しかしご出家してしまわれた以上、中宮の位のままではいらっしゃれない。母君は内裏でのお力を失い、その他のご親族は皇族だから後見はできないとなると、私ひとりで東宮様の後見をしなければ>
と悩み続けていらっしゃる。
それでも源氏の君は細々としたことによくお気がついて、
「ご出家なさったのだから、尼君用の家具がご必要だろう。年内にお届けせよ」
と手配なさる。
中宮様と一緒に出家した女房にもお見舞いをお届けになったわ。
もっと細かいこともいろいろあったでしょうし、しみじみとしたお手紙のやりとりなんかもあったでしょうね。
源氏の君が中宮様をお訪ねになると、中宮様はたまに、女房を通さず直接お話をなさるようになった。
尼君になられたことで、恋愛の世界から完全に抜け出されたの。
だからといって源氏の君の恋心が急に消えるわけでもない。
でも、もう尼君でいらっしゃるから、どんなに熱い恋心も届かないのよ。
世の中が何もかも嫌になってしまわれて眠れないの。
ただ東宮様のことだけをお気の毒にお思いになる。
<亡き上皇様は、東宮様の後見が弱いことを心配なさって、母君を中宮という高い位になさったのだ。しかしご出家してしまわれた以上、中宮の位のままではいらっしゃれない。母君は内裏でのお力を失い、その他のご親族は皇族だから後見はできないとなると、私ひとりで東宮様の後見をしなければ>
と悩み続けていらっしゃる。
それでも源氏の君は細々としたことによくお気がついて、
「ご出家なさったのだから、尼君用の家具がご必要だろう。年内にお届けせよ」
と手配なさる。
中宮様と一緒に出家した女房にもお見舞いをお届けになったわ。
もっと細かいこともいろいろあったでしょうし、しみじみとしたお手紙のやりとりなんかもあったでしょうね。
源氏の君が中宮様をお訪ねになると、中宮様はたまに、女房を通さず直接お話をなさるようになった。
尼君になられたことで、恋愛の世界から完全に抜け出されたの。
だからといって源氏の君の恋心が急に消えるわけでもない。
でも、もう尼君でいらっしゃるから、どんなに熱い恋心も届かないのよ。



