野いちご源氏物語 一〇 賢木(さかき)

そして四日目。
最終日のこの日は、中宮(ちゅうぐう)様ご自身のためのご法要(ほうよう)をなさる。
ご法要の最初に、今日、中宮様がご出家なさることが参列者に知らされた。
皆様とても驚いていらっしゃったわ。
源氏(げんじ)(きみ)も、中宮様の兄宮(あにみや)でいらっしゃる兵部卿(ひょうぶきょう)(みや)様も、<なんということだ>と動揺(どうよう)なさる。
宮様は中宮様の近くへ行って出家を思いとどまらせようとなさったけれど、中宮様のご決意は固い。
ご法要が終わると、ついに中宮様は出家してしまわれた。
僧侶(そうりょ)がお(ぐし)を短く切ると、女房(にょうぼう)たちは泣きくずれてしまう。
中宮様はまだお若くお美しいのに、どなたにもご相談なさらずに(あま)になってしまわれたの。
兵部卿の宮様をはじめ、参列している方たちは皆様泣いてお帰りになったわ。

源氏の君は立ちつくしていらっしゃる。
中宮様におかけする言葉も見つからないの。
でも、人目(ひとめ)があるからずっとそのままではいらっしゃれない。
兵部卿の宮様がお帰りになってから中宮様にご挨拶(あいさつ)に上がられた。