源氏の君がお泊まりになっているお寺は、賀茂神社の斎院のお住まいに近い。
源氏の君は朝顔の斎院にもお手紙をお書きになったわ。
少し薄い緑色の上等な紙に、
「あなた様が斎院という神聖なお立場におなりになる前に、私のものにしてしまえばよかったと悔やまれます。昔のことを思い出すと、そのようにできなかったわけでもないと思うのですが」
と、ずいぶん馴れ馴れしくお書きになった。
神様にお供えする榊の枝を添えて、見た目だけは斎院にふさわしくしてお届けになる。
朝顔の斎院は、
「何を思い出しておられるのでしょう。私たちがそのような関係だったことはございませんよ」
と冷たくお返事なさる。
<ご筆跡はお見事だが、堅苦しい感じがするのはわざとだろうか。それにしてもますます字がお上手になっていかれる。ご本人もさぞかし美しくご成長されているだろう>
と、神様にお仕えする斎院に対して罰当たりなことをお思いになっていたわ。
<そういえば去年の今ごろ、六条御息所は斎宮におなりになった姫宮と伊勢へ行かれたのだった。伊勢神宮といい、賀茂神社といい、神様は私の恋の邪魔ばかりなさる>
と、これまた罰当たりなことをお考えになる。
そもそも朝顔の斎院は源氏の君の従妹でいらっしゃる。
もし斎院に選ばれる前に源氏の君がご結婚を希望なさっていれば、斎院の父宮も反対はなさらなかったはずよ。
そのころははっきりと希望をおっしゃらなかったのに、斎院におなりになった今になって悔やんでおられるのだもの。
やはり簡単に手に入れられないところに惹かれてしまわれるのでしょうね。
朝顔の斎院も、昔からの文通相手としてたまにはお手紙にお返事をなさる。
斎院は一途に神様にお仕えするお役職だから、本当はいけないことなのだけれど。
源氏の君は朝顔の斎院にもお手紙をお書きになったわ。
少し薄い緑色の上等な紙に、
「あなた様が斎院という神聖なお立場におなりになる前に、私のものにしてしまえばよかったと悔やまれます。昔のことを思い出すと、そのようにできなかったわけでもないと思うのですが」
と、ずいぶん馴れ馴れしくお書きになった。
神様にお供えする榊の枝を添えて、見た目だけは斎院にふさわしくしてお届けになる。
朝顔の斎院は、
「何を思い出しておられるのでしょう。私たちがそのような関係だったことはございませんよ」
と冷たくお返事なさる。
<ご筆跡はお見事だが、堅苦しい感じがするのはわざとだろうか。それにしてもますます字がお上手になっていかれる。ご本人もさぞかし美しくご成長されているだろう>
と、神様にお仕えする斎院に対して罰当たりなことをお思いになっていたわ。
<そういえば去年の今ごろ、六条御息所は斎宮におなりになった姫宮と伊勢へ行かれたのだった。伊勢神宮といい、賀茂神社といい、神様は私の恋の邪魔ばかりなさる>
と、これまた罰当たりなことをお考えになる。
そもそも朝顔の斎院は源氏の君の従妹でいらっしゃる。
もし斎院に選ばれる前に源氏の君がご結婚を希望なさっていれば、斎院の父宮も反対はなさらなかったはずよ。
そのころははっきりと希望をおっしゃらなかったのに、斎院におなりになった今になって悔やんでおられるのだもの。
やはり簡単に手に入れられないところに惹かれてしまわれるのでしょうね。
朝顔の斎院も、昔からの文通相手としてたまにはお手紙にお返事をなさる。
斎院は一途に神様にお仕えするお役職だから、本当はいけないことなのだけれど。



