源氏の君は中宮様が内裏に上がられると聞いても、お供をなさらない。
ご体調が悪いとおっしゃって二条の院に引きこもっておられるの。
東宮様はもう六歳でいらっしゃる。
とてもお美しいのよ。
ひさしぶりに母君であられる中宮様にお会いになったから、うれしくてまとわりついていらっしゃる。
こんなにかわいらしい我が子を捨てて出家なさるなんて、おつらくないはずがないわ。
でも、中宮様は内裏の雰囲気の変化をひしひしと感じていらっしゃった。
皇太后様が中宮様や東宮様の弱みを探しておられる。
もう迷ってなどいられないの。
中宮様は、
「もししばらくお会いしない間に、私の姿が変わってしまったらどうお思いになりますか」
と東宮様にお尋ねになる。
東宮様は中宮様のお顔をじっとお見つめになって、
「あの女官のようになってしまわれるのですか? 母君がそのようにおなりになるはずがありません」
と無邪気に笑っておっしゃるの。
中宮様は困ったように少しほほえまれた。
「あの女官は年をとって姿が変わったのです。そうではなくて、髪を短くして黒い着物を着るのですよ。尼という女の僧侶になるのです。今以上に、めったにお会いできなくなってしまいます」
最後は泣きながらおっしゃる。
東宮様も真剣なお顔になって、
「今だって長くお会いできないとさみしいのに」
と涙をこぼされる。
泣くのを恥ずかしいと思うお年頃でいらっしゃる。
お顔をおそむけになると、子どもの髪形に結ったお髪がゆらゆらと美しく揺れるの。
ご成長なさればなさるほど、目元のあたりなどが源氏の君にそっくりよ。
そのお美しさが、世間を恐れる中宮様にはご心配でたまらない。
ご体調が悪いとおっしゃって二条の院に引きこもっておられるの。
東宮様はもう六歳でいらっしゃる。
とてもお美しいのよ。
ひさしぶりに母君であられる中宮様にお会いになったから、うれしくてまとわりついていらっしゃる。
こんなにかわいらしい我が子を捨てて出家なさるなんて、おつらくないはずがないわ。
でも、中宮様は内裏の雰囲気の変化をひしひしと感じていらっしゃった。
皇太后様が中宮様や東宮様の弱みを探しておられる。
もう迷ってなどいられないの。
中宮様は、
「もししばらくお会いしない間に、私の姿が変わってしまったらどうお思いになりますか」
と東宮様にお尋ねになる。
東宮様は中宮様のお顔をじっとお見つめになって、
「あの女官のようになってしまわれるのですか? 母君がそのようにおなりになるはずがありません」
と無邪気に笑っておっしゃるの。
中宮様は困ったように少しほほえまれた。
「あの女官は年をとって姿が変わったのです。そうではなくて、髪を短くして黒い着物を着るのですよ。尼という女の僧侶になるのです。今以上に、めったにお会いできなくなってしまいます」
最後は泣きながらおっしゃる。
東宮様も真剣なお顔になって、
「今だって長くお会いできないとさみしいのに」
と涙をこぼされる。
泣くのを恥ずかしいと思うお年頃でいらっしゃる。
お顔をおそむけになると、子どもの髪形に結ったお髪がゆらゆらと美しく揺れるの。
ご成長なさればなさるほど、目元のあたりなどが源氏の君にそっくりよ。
そのお美しさが、世間を恐れる中宮様にはご心配でたまらない。



