中宮様もご実家へ戻られることになった。
兄宮であられる兵部卿の宮様がお迎えにいらっしゃったわ。
そう、紫の上の父宮でもいらっしゃる宮様ね。
雪も風も激しい日だった。
上皇様を失ったお屋敷は、だんだんと人が減って寂しくなっていたわ。
中宮様が今日ご実家に戻られるとお聞きになった源氏の君は、お別れのご挨拶に上がられた。
兵部卿の宮様と昔話をなさる。
宮様はお庭の松をご覧になって、しみじみとおっしゃった。
「たいそう華やかだったこちらのお屋敷も、すっかり寂しくなりましたね。悲しい年の暮です」
お庭のお池には氷が張っている。
源氏の君は涙をこぼしながら、
「どこをお探ししても、もう上皇様はおいでになりませんから」
と、素直すぎて幼いような気さえするお返事をなさった。
おふたりの応対役として出ていた中宮様の女房が、
「私たちの記憶からもいつか消えておしまいになるのでしょうか」
と寂しそうに申し上げる。
他にもいろいろとお話しになったけれど、悲しいことばかりだもの。
ここまでにしておきましょう。
中宮様はご実家へお戻りになったけれど、なんだかご自宅という気がなさらない。
十年以上前に内裏にお上がりになって、それからずっと上皇様とご一緒だったのだから、それも当然かもしれないわね。
兄宮であられる兵部卿の宮様がお迎えにいらっしゃったわ。
そう、紫の上の父宮でもいらっしゃる宮様ね。
雪も風も激しい日だった。
上皇様を失ったお屋敷は、だんだんと人が減って寂しくなっていたわ。
中宮様が今日ご実家に戻られるとお聞きになった源氏の君は、お別れのご挨拶に上がられた。
兵部卿の宮様と昔話をなさる。
宮様はお庭の松をご覧になって、しみじみとおっしゃった。
「たいそう華やかだったこちらのお屋敷も、すっかり寂しくなりましたね。悲しい年の暮です」
お庭のお池には氷が張っている。
源氏の君は涙をこぼしながら、
「どこをお探ししても、もう上皇様はおいでになりませんから」
と、素直すぎて幼いような気さえするお返事をなさった。
おふたりの応対役として出ていた中宮様の女房が、
「私たちの記憶からもいつか消えておしまいになるのでしょうか」
と寂しそうに申し上げる。
他にもいろいろとお話しになったけれど、悲しいことばかりだもの。
ここまでにしておきましょう。
中宮様はご実家へお戻りになったけれど、なんだかご自宅という気がなさらない。
十年以上前に内裏にお上がりになって、それからずっと上皇様とご一緒だったのだから、それも当然かもしれないわね。



