内裏には、新斎宮のお供をして伊勢へ行く女房たちもたくさん来ている。
乗り物に乗ったまま、斎宮が儀式を終えて出ていらしゃるのをお待ちしているの。
乗り物からは女房たちの着物の裾がちらちらと見えているのだけれど、その色合いがなんともお洒落なのよ。
六条御息所のご趣味の良さは、そんなところからも伝わってきたわ。
内裏で働いている貴族の方たちのなかには、交流のあった女房と個人的に別れを惜しんでいる方も大勢いらっしゃった。
新斎宮のお行列は、暗くなってから内裏を出発なさった。
二条の院の前を通って伊勢へ向かわれる。
源氏の君はお行列が通りすぎていくのを無視できなくて、御息所にお手紙をお送りになったわ。
「私を捨てていかれるのですね。後悔なさいませんか」
すっかり暗くなってしまっていて、しかもご出発直後のあわただしいときのお手紙だったから、御息所は翌日お返事をお書きになった。
「どうでございましょう。伊勢にいる私のことなど、どなたも気になさりますまい」
<あいかわらず見事なご筆跡だが、そのご筆跡でこうはっきり書かれてしまうと息が詰まる。同じ文章でも、もう少しか弱そうにお書きになったら優しげに見えるのに>
と、源氏の君は最後まで恋人の欠点が気になってしまわれる。
それでも御息所との別れには苦しんでおられるのよ。
霧が立ちこめた明け方のお庭をぼんやりと眺めて、独り言をおっしゃった。
「どうか伊勢までご無事で。見送るときくらい、私とあなたとの間の霧も晴れてほしいが」
何日かは紫の上の離れにも行かず、ご自分のお部屋で寂しそうに沈んでいらっしゃった。
まして伊勢へ行かれる御息所のお心は、どれほどおつらかったことでしょうね。
乗り物に乗ったまま、斎宮が儀式を終えて出ていらしゃるのをお待ちしているの。
乗り物からは女房たちの着物の裾がちらちらと見えているのだけれど、その色合いがなんともお洒落なのよ。
六条御息所のご趣味の良さは、そんなところからも伝わってきたわ。
内裏で働いている貴族の方たちのなかには、交流のあった女房と個人的に別れを惜しんでいる方も大勢いらっしゃった。
新斎宮のお行列は、暗くなってから内裏を出発なさった。
二条の院の前を通って伊勢へ向かわれる。
源氏の君はお行列が通りすぎていくのを無視できなくて、御息所にお手紙をお送りになったわ。
「私を捨てていかれるのですね。後悔なさいませんか」
すっかり暗くなってしまっていて、しかもご出発直後のあわただしいときのお手紙だったから、御息所は翌日お返事をお書きになった。
「どうでございましょう。伊勢にいる私のことなど、どなたも気になさりますまい」
<あいかわらず見事なご筆跡だが、そのご筆跡でこうはっきり書かれてしまうと息が詰まる。同じ文章でも、もう少しか弱そうにお書きになったら優しげに見えるのに>
と、源氏の君は最後まで恋人の欠点が気になってしまわれる。
それでも御息所との別れには苦しんでおられるのよ。
霧が立ちこめた明け方のお庭をぼんやりと眺めて、独り言をおっしゃった。
「どうか伊勢までご無事で。見送るときくらい、私とあなたとの間の霧も晴れてほしいが」
何日かは紫の上の離れにも行かず、ご自分のお部屋で寂しそうに沈んでいらっしゃった。
まして伊勢へ行かれる御息所のお心は、どれほどおつらかったことでしょうね。



