源氏の君のような方に興味をもたれるのは、女性にとってどうなのかしら。
最初はうれしくてどきどきするかもしれないけれど、だんだんと面倒なことになって、最終的には嫌な思いをすることも多そうよね。
私には源氏の君からお声がかかることなんてないから、他人事として冷静に考えられるのかもしれないけれど。
でもね、源氏の君からお声をかけられた姫君でも、そんなふうに冷静に考えていた方がいらっしゃったの。
それは、上皇様の弟宮のおひとりであられる、式部卿の宮様の姫君。
覚えていなくても全然構わないのだけれど、紀伊の守の屋敷に源氏の君が行かれたとき、女房たちがひそひそと噂話をしていたのよね。
「源氏の君が皇族の姫君に、朝顔を添えてお手紙をお送りになった」というようなことを。
それはこの姫君のことだったの。
「朝顔の姫君」とお呼びいたしましょうか。
源氏の君は十代のころから、この朝顔の姫君が気になっていらっしゃった。
源氏の君がお手紙を差し上げても、めったにお返事はくださらない。
たまにいただけるお返事からは、聡明で落ち着いたお人柄と、風情を理解しておられることが伝わってきたわ。
宮様の姫君という高いご身分だから、左大臣様の姫君以上のご正妻になることだってできたはずよ。
でも、朝顔の姫君は源氏の君になびこうとなさらなかった。
源氏の君の女性関係を、いろいろとご存じだったのでしょうね。
近ごろは六条御息所の噂をお聞きになって、
<私はそんなふうにはなりたくない>
とますます強くお思いになる。
源氏の君は簡単には手に入れられない女性を好まれるから、あの手この手で朝顔の姫君を口説こうとなさるのだけれど。
最初はうれしくてどきどきするかもしれないけれど、だんだんと面倒なことになって、最終的には嫌な思いをすることも多そうよね。
私には源氏の君からお声がかかることなんてないから、他人事として冷静に考えられるのかもしれないけれど。
でもね、源氏の君からお声をかけられた姫君でも、そんなふうに冷静に考えていた方がいらっしゃったの。
それは、上皇様の弟宮のおひとりであられる、式部卿の宮様の姫君。
覚えていなくても全然構わないのだけれど、紀伊の守の屋敷に源氏の君が行かれたとき、女房たちがひそひそと噂話をしていたのよね。
「源氏の君が皇族の姫君に、朝顔を添えてお手紙をお送りになった」というようなことを。
それはこの姫君のことだったの。
「朝顔の姫君」とお呼びいたしましょうか。
源氏の君は十代のころから、この朝顔の姫君が気になっていらっしゃった。
源氏の君がお手紙を差し上げても、めったにお返事はくださらない。
たまにいただけるお返事からは、聡明で落ち着いたお人柄と、風情を理解しておられることが伝わってきたわ。
宮様の姫君という高いご身分だから、左大臣様の姫君以上のご正妻になることだってできたはずよ。
でも、朝顔の姫君は源氏の君になびこうとなさらなかった。
源氏の君の女性関係を、いろいろとご存じだったのでしょうね。
近ごろは六条御息所の噂をお聞きになって、
<私はそんなふうにはなりたくない>
とますます強くお思いになる。
源氏の君は簡単には手に入れられない女性を好まれるから、あの手この手で朝顔の姫君を口説こうとなさるのだけれど。



