【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。



 無視して歩くと、葛谷はそれ以上話しかけてこなかった。


 変な趣味をしていたし、学校の連中になにか話すのかと思ったけど、翌日以降も俺の周りに変化はなく。

 人と一緒にいるときに葛谷を見かけたこともあったものの、おたがい口を聞くこともなく過ごしていた。

 だから、(むら)がってくる連中をまいて1人で歩いているときに声をかけられたのには、少しおどろく。




「なぁ、猫かぶり」


「…なに?今さら」


「お前、いつも人に囲まれてるし、人の情報、よく知ってるよな?2年の辻本(つじもと)の秘密、なにか知らないか」


「辻本?」




 少し考えたのは、辻本と今まで交わした会話をすべて思い出すため。

 よくうらやましいと言われる記憶力のおかげで、人の名前を間違えたことはない。

 秘密と言われて思い浮かぶもののなかで、俺がしゃべったところで追及されない内容を抜き出す。