【中】酸いも甘いも、イケメンぞろい。

天衣茅都(あまいかやと)視点―


 雨蓮(うれん)と初めて話したのは、2年のころのことだった。




「まじでありがとう、天衣(あまい)!」


「ううん」




 愛想のいい笑みを浮かべて、部活に戻る男へ手を振ったあと、表情をそぎ落として「はぁ」とため息をつく。

 長年の惰性(だせい)望羽(みはね)がいないときも“いい人”のフリをしているけど、興味のない人間しかいない学校生活はただただ疲れる。

 早く家に帰りたい、と振り返って廊下(ろうか)の先を見ると、そこには1年のころからうわさの“イケメン”がいた。




「…やあ」




 今の顔、見られたか、と思いながら、気にせず愛想笑いを貼り付けると、葛谷雨蓮(くずやうれん)はほほえみながら近づいてくる。




「優等生、天衣茅都(あまいかやと)。作り物みたいな男だと思ってはいたが、裏の顔が見えたな」


「あ、僕のこと知ってるんだ。僕もきみのうわさはよく聞いてるよ、葛谷くん」